2010年02月01日

親父とプレヴィン/ラフマニノフ:交響曲第2番


私の父は認知症で、今は施設に入っている。

おかしくなり始めたのは約8年前、まじめな仕事人間だった父
が退職したにも関わらず、ゆっくり過ごすことが出来ず、毎日
スーツを着て会社に行こうとしたのだそうだ。

本を読んだり、音楽を聴いたり、オーディオやゴルフなど、楽
しむ趣味は多い方だったのに、会社を辞めてから、何もしない
で過ごしていると言う。

丁度、息子が生まれた時で、その頃はまだ話が出来たのだが、
旅行したり、夫婦二人でコンサートに行ったり、色々な人と接
するような、趣味の幅を広げたらどうかと説得したが、父から
出てくる話は仕事の実績ばかり...

京都に転勤し、盆暮れぐらいしか会えなくなった頃には、会う
たびに言葉がしゃべられなくなっていった。

脳を鍛えるため、漢字の読み書きや、計算問題をやったようだ
が、結局は病状の進行を抑えることは出来なかった。

そのうち、今までお世話になった人たちに、お金を渡したり、
なぜかペットボトルの水をあげるといった変な行動をとるよう
になった。

まだ、人にあげているうちは良かったが、万引きをするように
なり、ピック病と診断された。

知らないうちに家を抜け出し、商品を持って帰って来てしまう
ので、母が見つけては、近所のスーパーに商品を持って謝りに
いく日々が続いた。

日中しか行動しないので、最初はデイサービスに日中は預けて
いたのだが、症状が悪化し、母一人では祖母と父の面倒を見る
ことが手に負えなくなり、施設に預けることにした。

この時、母は

 自分一人で頑張る。大丈夫だから。

と最後まで言っていたが、老々介護はハタから見てても本当に
大変。そこで何度も説得して無理やり入れさせた。(母は今で
も気にしているが、入れて本当に良かったと思う。)

実家に帰ると、そんな父に会いに家族みんなで施設に行くのだ
が、話も出来ない父が機嫌が良かったのか鼻歌を歌っていた。

その曲がラフマニノフ:交響曲第2番の3楽章のメロディ。

映画好きでもあった父が好きだった曲だ。

子供の頃よく聞かされ、耳に残る甘美なメロディは子供でも分
かりやすい。

そのレコードがプレヴィン指揮、ラフマニノフ:交響曲第2番
だった。

ASD2889j.jpg ASD2889.jpg
プレヴィン/ラフマニノフ:交響曲第2番
英EMI ASD2889

70年代、EMIはプロデューサーとエンジニアに恵まれ、50、
60年代とは異なるが、新たな魅力溢れる録音を多数残した。

中でもビショップ、パーカーのクリストファー・コンビが有名
だが、このロバート・グーチの録音も素晴らしい。

少しナヨっとしたプレヴィンの指揮も、濃厚な味わいが、適度
な濃さで、この曲に合っていると思う。


話も出来ないし、息子を認識しているのかどうかも分からない
が、音楽だけは忘れていないって不思議。

脳が収縮しても、影響を受けないのか、偶然そこが機能してい
るだけなのかは分からないが、”音楽の力”と信じたい。

posted by メタボパパ at 01:10| Comment(0) | TrackBack(0) | レコード紹介:N〜R | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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